将棋で楽しい日々 AI様様

今日の読売新聞朝刊15面くらし 左上段 ぷらざ

 

 新型コロナウイルスの影響で家に籠る日々が続くなか、最近将棋に出会い、老後にずっと楽しめる面白さにとりつかれている。駒の動かし方さえ分からない初心者だったが、タブレット型端末に将棋アプリを入れてみたのだ。

 私に合わせて初心者レベルのAI(人工知能)が相手をしてくれる。対人ではないので気を使う必要が一切なく、私が指す手をあれこれ迷っていても、停止状態で黙って待ってくれている。そして、私が指した途端にAIが素早く動く。

 回数を重ねるごとに守り方、攻め方、取った駒を有効に使う方法が徐々に分かってきた。慣れることで対応が柔軟になり、この年でも少しずつ上手に指すことができるようになった。

 新聞に載る棋譜に今までは無関心だったが、自然と目が向き、駒の状況が分かるようになってきたのもうれしい。何事も、始めるのに遅すぎることはないと実感する。

 ちなみに1か月ほどの成績は54勝16敗。この成果、ひよっこなりの満足感がある。さて今日もよろしくお願いいたします、AI様。(千葉県 女性 78)

 

1日2,3局ぐらい。すごいですね!

将棋をやろうとしない顧問の先生。ひそかに練習ができますよ。

 

第33期竜王戦3組準決勝第6譜

今日の読売新聞の観戦記

先七段藤井聡太、七段千田翔太

▲7三歩成30 △7六香

▲6二と1    △3一玉

▲8一飛成33 △2二玉1

▲7六銀    △同歩

▲7八歩2    △8七歩24

 

「△8七歩で△7七銀は▲8九桂△8八歩▲2四桂で先手良し。この変化がクリアできたので、▲7三歩成を選択」。7三歩成で30分考えて、また8一歩成で33分考えている。・・・誤算で考えたのではない。念には念をいれている。

あらかた変化は整理できていたのだ。とある。

自玉から、敵玉、そして盤面全体と視線が激しく動き、それを何度も繰り返す。・・・・・・この視線の動きも見たことがある。そう、平成の絶対王者のそれと重なってみえた。

 

羽生善治著「才能とは続けられること」

メモ

p15,16

家で定跡を覚えながら、「なぜ、これがこうなるのか?」を、一人でじっくり考え、少しづつ着実に覚えるというやり方が、自分には合っていたような気がします。

p21

最近は、教えてもらわないと上手くならないと考えがちですが、教えられる側の依存度が高くなると困ります。将棋はどんなときも自分一人で考え指していくものなので、誰かに教わってそれをそのまま真似るとか、参考にしてやっていくということが習慣化してしまうと強くなれないんですね。

 つまり、時間がかかっても自分の方法論を見つけることが大事。壁にぶつかったとき、それを突き破る道なり、方法の手があれば人によっては助かるかもしれません。

p24

私は六級で入会し、中学三年生で四段になりました。

この四段に昇段するまでの三年間は、私が最も将棋に打ち込んだ時期でした。学校の行きかえりには頭に将棋盤を思い浮かべ、家ではほかの人の棋譜を並べて真似をし、四六時中将棋のことばかり考えて、自分なりに理解を深めていきました。

 今、振り返ると、自分の頭で考えたり工夫をしたりして、自分なりの勉強法を見つけたプロセスは、想像力を培うのに役立ったと思います。

p32,33

プロ棋士たちの実力というのは、じつはあまり差がなくて、いつもギリギリのところで戦っています。対局後に行われる感想戦で、互いの読み筋などを語り合う時間があるのですが、そこで大きな食い違いや、開きを感じることはほとんどありません。

 では勝敗を決める差は何かといえば、精神力が大きいのではないかと思います。重要な局面になればなるほど、精神力が勝敗を左右する。

 人間には二通りの考えがあると思うのです。不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間。

 将棋の対局にピンチはつきもので、頭の中で考えている90%は自分にとって不利な局面です。 

 私もやはり落ち込みますが、相手の棋風や出方を考えることよりも、冷静に、そして自分のペースを守ることのほうに神経を集中させます。

 たとえ不利な局面でも、あまり落胆せずに淡々と指していく。ここが勝負のツボを見いだすポイントで、逆転に必要な直観やひらめきを導き出す道筋となるのではないかと思っています。